鈴木道彦『プルーストを読む-『失われた時を求めて』の世界』(集英社新書)

岩波文庫の新訳は14巻完結予定で、すでに刊行された12巻まで読み、ラストもだいたい噂(?)には聞いているので、そろそろネタバレを恐れる必要もあるまいと思い、次の13巻が出るまでの繋ぎとして、これを読んでみた。

それでも、「え、あの人そうなっちゃうの?」というネタバレがいくつかあった……まぁそもそもストーリー展開にワクワクしながら読むというような小説でもないのだし、そもそも本書自体が、『失時求』に恐れをなして二の足を踏んでいる人のためのガイドブックを意図している部分もあると思うのだが、そうしたガイド無しで読み進めてきた身としては、ちょっと早まったかなという感じ。

とはいえ、『失時求』のどういうところを楽しめばいいかを的確にまとめているという点ではよくできた本。むしろ、作品自体を読む気はないけど、どんな作品なのかは知っておきたい、という人にお勧めしたい。

その一方で、これを読んだことで、また作品そのものを最初から読み返したい気になってしまったのも事実。危険である。

 

 

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