大学時代の友人がFacebookで勧めていたので、読む。
これは確かに良書。イスラーム方面は、井筒俊彦『イスラーム文化』中田考『イスラーム入門』などいくつか読んで勉強したけど、あえて新たに1冊加える価値のある本。
何が違うのだろうと考えると、類書がたいていはムハンマドに始まってイスラームとはどういう宗教なのかを語っていくのに比べて、これは、現代的な問題(それこそイスラーム国とか9.11とか)からイスラームの源流へと遡っていく感じ。
たとえば、いわゆる「テロリスト」による攻撃が「一般市民」を標的にすることに憤っている人はたくさんいると思うけど(というかたいていの人が怒っていると思うけど)、「どうしてそういう攻撃をするのか」という理由は、この本を読めば分かる(むろん、理解=容認ではないにせよ)。
結局のところ、イスラームではそれが顕在化しているけど、どの宗教にも共通する原理主義と自由主義/近代主義/世俗主義の対立構造がベースにあるようで、たとえばキリスト教に詳しい人だったら「ああ、これってキリスト教におけるアレと同じだな」みたいに思い当たる節もけっこうあるのではないかと思う(私は詳しくないので「アレ」を具体的に言えないのだけど)。
冒頭の「術の宗教/信仰の宗教」という対比を例外として、基本的にイスラーム(しかもスンナ派限定)についてしか語っていない本だけど、そういう意味で、比較宗教学的な面白さがある。