提示されているビジョンとしては、ほとんど全面的にと言っていいほど同意するのだけど、扱うテーマを広げすぎたのか、あまりにも茫漠とした、「困難ではあるが不可能ではないビジョン」に留まっていて、やや具体性が欠ける嫌いがある。この本に書かれていることだけを材料にして、別の立場をとっている人(たとえば消極的な安倍政権支持者)を説得することは難しいのではないか。
その意味で、安全保障関係のいくつかの文献や、この著者の『構造的暴力と平和』(名著!)をすでに読んできた私にとっては、ちょっと物足りない感がある。良い本だとは思うのだけど。
ちなみに、鳩山由紀夫に対する評価については全面的に同意。