村上春樹関連の流れでこれも読まないとなぁということになり、久しぶりに古典を(といっても江戸時代だが)。
亡霊とか生き霊とかが出てくる怪異譚が中心なのだけど、昔の話なのに「うわっ、こ、これは恐い!」と思える部分があるのが凄い(いちおう一カ所だけだったが)。あと、最後の一篇の経済談義はけっこう面白い。
残念なことに、節ごとに挟まる解説がどうも過剰というか、読者の理解を助けるというより校注者の解釈を押しつける気味が強い。もちろん、きちんとした学者が研究を積み重ねて至った成果が披露されているのだろうけど、それは巻末の解説にまとめてくれればいいのであって、物語を味わう途中ではかなり煩く感じる(というわけで、途中からその部分はけっこう飛ばし読み)。現代語訳の部分は読みやすくて良いのだけど、語釈のところにもけっこう校注者の色が出ているから油断がならない。
というわけで、原文と現代語訳を読むのであれば、こんな分厚いバージョンでなくてもいいかもしれない。