だいぶ前に家人の親戚の家から単行本をもらってきて、その後文庫を買い直したのに読んでいなかった、村上春樹のインタビュー集。対象の期間が1997年~2011年ということで、その頃に発表された作品についての話題が中心なのだけど、古い作品はけっこう読み返しているのに、リアルタイムで(つまり出版からまもない時期に)読んでいたこの時期の作品は、却って軽視しているというか、一度読んだだけというものが多い。
『若い読者のための短編小説案内』『約束された場所で』『スプートニクの恋人』『神の子どもたちはみな踊る』『シドニー!』『海辺のカフカ』『アフターダーク』『東京奇譚集』『走ることについて語るときに僕の語ること』(文庫版では2011年6月のインタビューが追加されているので、『1Q84』ももう書かれている)
すべて読んだはずだけど、複数回読んだのは『走ることについて……』と『東京奇譚集』くらいかな(このあいだ『スプートニクの恋人』読み返したけど)。
彼がどのような方法で小説を書いているのか、ということがこのインタビュー集からよく伝わってくるし、とても面白い。もちろん、方法が分かったからといって、それを真似できるわけではない。
2011年6月のインタビューで彼は「これからの十年は、再び理想主義の十年となるべきだと僕は思います」と語っている。私はこれに完全に同意する。残念ながら、前半はまったく逆の方向に進んでしまっているのだけど。