佐藤健志『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』(文藝春秋)

『シン・ゴジラ』を観た流れはまだ続いていて(笑)、知人のツイートを介して、何となくタイトルには聞き覚えがあったこの本を手に取ることになった(といっても図書館で借りたのだけど)。

う~ん、幼稚にして雑、という印象。

諸悪の根源を「戦後民主主義の理念」に求める態度が露骨で、それゆえに無理なこじつけを繰り返している。もちろん「戦後民主主義の理念」に対する著者の捉え方がどこまで的確なのかは疑問だが、仮にそれが的確だとしても、すべてがそれで説明できると考えるとすれば、あまりに頭の構造が素朴すぎるというべきだろう。著者は「十二歳の男の子の堂々めぐり」をさんざん揶揄するのだが、それがどうも、「一足先に大人になった(つもりの)十四歳の男の子」の視点のような気がしてならないのだ。

著者は私と同い年。この本は1992年の刊行だから、せいぜい25歳くらいの若書きである。まぁ確かに、あの頃の私も、この本の著者と同じ程度かはともかく、幼稚にして雑だったと思うので、今の視点からこの本を批評するのはフェアではないかもしれない。

 

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