村上春樹『女のいない男たち』(文春文庫)

映画『ドライブ・マイ・カー』を観た以上は、原作も読まねばなるまい。

未読の状態で映画を観た、と思っていたのに、Amazonで検索してみたら、「お客様は、2016/10/18にこの商品を注文しました。」と…。実際、このブログでも感想を書いておりました(笑) それくらい印象の薄かった一冊、ということか。

映画を観たときは随所で「うわ~、村上春樹だなぁ」と思ったのだけど、一番それを感じたセリフは実は映画のベースになっている3本の短編には存在せず、他の春樹作品をパラパラとめくっても今のところ発見できておりません。いかにもそれっぽいセリフを語らせるあたり、濱口監督はかなり筋金入りの春樹ファンなのだろうか…。

初読のときの感想に、

たまに、「○○を村上春樹風に書いてみる」みたいなパロディ(?)を見かけるのだけど、ほとんどの場合、「ああ、作品をろくに読んでいない人がやっているな」と思うだけ。似てないんだよね。

と書いたのですが、その意味では監督にみごとにやられた感じです。

さて、この原作を読んでいないと映画の理解に差し支えるかというと、全然そんなことはないように思います。劇中劇というか『ワーニャ伯父さん』を作っていく過程については原作とほとんど関係ないのですが、それ以外の部分についても、原作からはモチーフと、そう、語り口だけ借りてきたという感じで、映画は映画として先入観なしに楽しめるし、むしろその方がいいのではないかな。

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