廣瀬俊朗『ラグビー知的観戦のすすめ』(角川新書)

2019年ラグビーワールドカップ(RWC2019)の直前に出版された本。

2012年~2015年のエディー・ジャパンでキャプテンを務めたこともある中核的な選手。RWC2015では出場機会を得られなかったにも関わらず、裏方としてチームを支え続けた2人のうちの1人。RWC2015後のシーズンをプレーした後、現役を引退。

というポジションだった廣瀬らしい、ワールドカップの主催者側でもなく、直接のチーム関係者ではないが、極めて現場に近い立場でワールドカップを盛り上げるために、どうやって楽しんでもらおうかという情熱が感じられる本。その情熱は、私は結局観なかったがドラマ『ノーサイド・ゲーム』への出演にも、そしてこの本でも熱く語られている、各国のラグビー・アンセムを歌って歓迎しようという「スクラム・ユニゾン」の立ち上げにも現われている。非伝統国・非強豪国での開催だからこそ「スクラム・ユニゾン」が可能なのだ、という思いは廣瀬自身も抱いていたようだ。

RWC2019がどういう結果に終ったか(勝敗だけではなく)を知っている今でも、というか今だからこそ、面白く読める本かもしれない。廣瀬の情熱は、十分に報われたのだ。

ラグビー観戦をどう楽しむかという入門書としては、まったく試合を観たことがない人には向かないかもしれない。RWC2019を機に何試合かラグビーの試合を観て、意味は正確に分からないまでも実況解説が使うラグビー用語にぼんやりと耳が馴染んできた、くらいの人がちょうどいいかもしれない。

 

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