大木毅『独ソ戦-絶滅戦争の惨禍』(岩波新書)

『ヒトラーとナチ・ドイツ』『ヒトラーに抵抗した人々』に続いて、やはりこれも読んでおかないと、という感じで。

通常の戦争(だから良いというものではないが)に対して、収奪戦争・絶滅戦争という特質を帯びたことによって、独ソ戦が凄惨な様相を呈することになった経緯を中心とする論考。

第二次世界大戦においてソ連(当時)の死者数が突出して多いのは、戦勝国であることを思えば不思議なくらいなのだが、そのような経緯を知れば、なるほどと思う。

やっぱり人種的・民族的な偏見がかくも大きな「悪」を生み出すのだなぁ。

あと、戦後に流布した、独ソ戦の推移をヒトラーの個人的な責任に帰してドイツ国防軍を免責するような言説を、最新の研究に基づいて否定しているのも、この本の意義。

 

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