谷岡一郎『データはウソをつく―科学的な社会調査の方法』(ちくまプリマー新書)

「相関関係と因果関係をごっちゃにするな」「特定部分を誇張するグラフ表現に騙されるな」「質問の表現には気をつけろ」などなど、そういうリテラシーが必要であることは言うまでもないし、そのわりにはあまり理解されていないので、もちろん、この種の本は有益ではある。

有益ではあるのだが…あまりオススメできない。そういう、有益な知見(個人的には分かっていることばかりで今更感があるのだが)も含まれてはいるのだけど(そのための本なのだから当然だが)、それ以外に、著者の主観や思い込みで語っている部分がたくさんあるのが気になる。で、そのたびに「この本に書いてあることも鵜呑みにしちゃダメですよ、練習問題として突っ込みを入れてみてください」みたいな予防線を張っているのが、またいかにも姑息な印象。だったら無駄話は止めて必要十分なリテラシーに絞ればいいのに、と思う。

この新書シリーズは若い(高校生くらい?)をメインターゲットにしていると思うのだが、そういう新書にふさわしい著者なのだろうか、という疑問が湧く。

厳しい言い方をしてしまえば、卑しさを感じてしまう著作である。学ぶべき内容はあるだけに、もったいない。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください