渡辺洋二『彗星夜襲隊-特攻拒否の異色集団』(光人社NF文庫)

私には何というか反戦軍事マニアのような部分がありましてな。

そこそこの判断力がつく年代になる前は、兵器を「かっこいい」と思う、わりとよくいる男の子だったわけです。幼少時に戦争を体験している世代である両親も平和主義者だったはずだけど、私が軍艦や戦車のプラモデルを作ることを別に止めはしなかったような。

物心ついた今はもちろん、反戦平和主義なのですが、いちおう、軍事的なことにも関心はあって、そういう知識は、時事翻訳系でけっこう役に立っていたりします。

この本はいわゆる戦記・戦史ものですが、鴻上尚史さんの『不死身の特攻兵』でも紹介されていて、気になりました。『永遠の0』でもこの部隊の指揮官についてはちょっと言及があります。特攻という戦術を批判する文脈では定番、ということなのでしょう。

中心的な機種である「彗星」が複座であるため、操縦員だけでなく偵察員に関する記述が多いこと、当時の日本軍の軍用機では珍しい水冷式で整備に不慣れだったようで、整備員に関する記述も多いこと、が目を惹きます。

基本的に、見識のある指揮官が、制約のあるリソースを最善の手法で活用して奮戦する、という事例ですが、結局のところ戦争の話なので、こういう事例が再現されることがあってはならないし、そういう話が読みたければスポーツの世界でいくらでも見つかるだろうな、と思います。

【追記】読んでいて、ふと心が痛んだのは、この部隊は、(結果論ではありますが)沖縄を爆撃しているんですよね……。

 

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