平和のための戦争論 ――集団的自衛権は何をもたらすか? (ちくま新書) eBook: 植木千可子

著者は防衛研究所で主任研究官を務めた人で、こういう、何というか「内部」にいた人の話を興味深いと思う傾向が私にはある。

中国はたいした脅威ではないから、却って日本の安全保障にとっては重大な問題である、という指摘は面白い。

あと、基本的な部分として「どういう条件が整うと戦争は起きるのか」(本書第3章「戦争はなぜ起こるのか? どうやって防ぐか?」)という分析は、政治的にどのような立場を取るにせよ、読んでおいて損はないような気がする。

本書を読んだ印象としては、集団的自衛権を行使する必要がない状況であれば、集団的自衛権を認めてもいい、という結論に至るような気がして、その背理が面白い。

ただこの本では、外国(主として中国)に対する安全保障という観点はあっても、集団的自衛権を名目にしてIS相手など非対称な「戦争」に入っていくことに対する分析が不十分であるという気がする。というか、むしろそっちに重点を置いてもいいと思うのだけど。

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