チェーホフ『ワーニャ伯父さん/三人姉妹』(浦雅春・訳、光文社古典新訳文庫)

というわけで、映画『ドライブ・マイ・カー』繋がりで、この作品も。

亡母がロシア文学専攻でチェーホフが専門だった関係で家に全集があり、たぶん高校生の頃に代表的な戯曲は読んでいるはずなのですが、『ワーニャ伯父さん』は今ひとつ印象が薄い…。

新潮文庫だと『かもめ』とカップリングで、どちらにしようか迷ったのですが、数年前に『かもめ』の舞台を観た後で原作の戯曲を読んでいたので、それと被らない方がいいな、と『三人姉妹』が入っている方を選びました。ちなみにそのとき読んだ『かもめ』も浦雅春の訳でした。神西清の訳はkindleで無料で入手できるということもあり。

何というか、昨今の国際情勢もあって、二つの作品で描かれている「救いのなさ」と「希望」の両側面のうち、前者が切々と迫ってくる感じで、何だか憂鬱な気分にならざるをえません…。

ちなみに『ワーニャ伯父さん』の舞台はたぶん観たことがなく、『三人姉妹』の舞台は、30年(?)以上前にSCOTのものを観ただけ…。白石加代子の鬼気迫る演技が印象的でしたが、いま思うと、あれはきわめてチェーホフ的であったような気もします。その舞台での最後のセリフが「楽隊は、あんなに楽しそうに、あんなに嬉しそうに鳴っている。あれを聴いていると…」だったので、「音楽は、」と訳されているのは少し違和感があります。

ところで、件の映画を理解するうえで、こちらも読んでおくべきかというと、それもあまり必要ないのではないかな、という気がします。ま、映画は映画で独立した作品です。当たり前だけど。

 

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