廣野由美子『批評理論入門-「フランケンシュタイン」解剖講義』

というわけで、これを読む準備としての『フランケンシュタイン』だった。

前半は小説がどういう構造になっていて、どういう手法が使われているのか、といった、まさに「解剖」と言うべき読み方の手ほどき。後半は、ある作品に対して、どういう視点や角度からの批評の仕方がありうるのか、こういう批評スタイルだったら、この作品のこういうところをこういう風に語ることになる、という例示。作品が1人の人間だとすれば、前半が医学的分析だとすれば後半は社会的評価といったところか。

副題にあるように、素材として取り上げられるのは『フランケンシュタイン』で、やはり先にこの作品を読んでおいた方が、この本もいっそう楽しめるように思う。もちろん、この本を読むことで『フランケンシュタイン』がいっそう親しみの湧く作品になることは間違いない。

主眼は後半にあるのだが、さまざまな批評のスタイルを並列的に紹介していくのを読み進めていくと、著者にその意図はないのだろうけど、何となくそれぞれの批評スタイルのパロディのような趣を感じてしまう。そんなわけで、ふと思い出したのが斎藤美奈子『文章読本さん江』。

本書で取り上げられている批評スタイルのうち、楽しんで読めそうだなぁと思ったのは、精神分析批評、フェミニズム批評、ジェンダー批評(アップデートの必要がありそうだが)、マルクス主義批評、あたりかな。

図書館で借りたが、これは家に一冊あってもいいなと思うので、たぶん買うことになりそう。

 

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