この著者の本では『南三陸日記』に好印象を抱いていたので、数ヶ月前に出たこの本も読んでみた。
生で観覧したことのある相馬野馬追絡みの第二章も、そして記者みずから新聞配達を経験する第四章も良いのだが、やはり終盤に示される、東京電力にとっても日本政府にとっても、もはや福島第一原発の廃炉や被災地の復興は、別に順調に進めたからといって特にメリットのある案件ではなく、急いでやろうとするモチベーションもないのだ、という暗澹たる認識が重い。
新型コロナ云々は関係なく、そして準備してきたアスリートたちの気持ち云々は関係なく、東京オリンピックの招致・開催はすでに犯罪なのだ、ということを強く思う。