近所の大田黒公園に散歩に行ったのを機に、この邸宅・庭園の元の所有者である大田黒元雄の本を読んでみようか、と。すでに新刊で入手できる著作はないので図書館で検索。さすがに地元の名士だけあって、杉並区図書館では所蔵も多いが、ほとんどが禁帯出。借り出せたのが、比較的新しい(といっても半世紀前)刊行の、このエッセイ集。
もちろん今読んでも「役に立つ」情報はほとんど無いのだけど(専門の音楽について書かれたものなら話は別だろうが)、風雅な高等遊民というのはこういう人なのだろうなぁと思わせる。やはり魅力的なのは船旅の描写か。欧州から米国にわたり、大陸を横断して西海岸にたどり着くと、だいぶ日本に帰ってきた気がする、という感覚が面白い。