『源氏物語』をゆっくり読み進める一方で、1年前のラグビーワールドカップを振り返る。
著者のように招致・開催の中枢にいた人にとっても、私のように(それなりにディープだとはいえ)観戦だけの一介のファンと同じように、やはりミクニスタジアムのウェールズ公開練習と、9月20日の開会式(これは当然だが)、そして釜石でのカナダチームの活躍(と言ってしまってよかろう)は、あの大会をめぐる大きな出来事だったのだなぁ。
郡上市の少年、名護市辺野古区の少女のエピソードは、2人の健気な言葉と、周りの人々の厚意と奔走によるハッピーエンドに胸を打たれる。もっとも、こうしたハッピーエンドの一方で、残念なこともいろいろあったのは、今後のためにも(「今後」があればの話だが)きちんと記憶しておくべきだろうとは思うけど。
とはいえ、開催前にはものすごく心配していたことを思えば、大成功でしょ、去年のワールドカップは。
昨年のワールドカップとは直接には関係のない、著者の若い頃の体験を含む第5章、招致過程を綴った終章も、構成という点でやや付け足し感はあるが、内容的にはとても興味深い。時系列的には5章(の一部)~終章~1章以降という流れなのだが、それだといかにもありきたりで退屈な本になってしまったかもしれない。