何となくまとめてkindleで購入してしまった広瀬正作品。『マイナス・ゼロ』に続いてこれを読んでみる。
一部の人にある高さ(C#、ツィス)の音が耳鳴りのように聞えはじめ、原因不明のまま、音量がだんだん大きくなって聞える人の数も増え、やがて耐え難い音量になり…という、一種の自然災害パニックもの。
「治安体制を強化するための権力者の陰謀」論を唱える人々が出てくるといったあたりは、昨今の新型コロナウイルスでも見られる現象で、なかなか興味深い。
ただ作品としては、最後にオチをつけたようでいて、さらに混ぜっ返す形で終っているので、結局何だったのか謎は残るまま。作者の意図としてそうしたかったのかもしれないが、やや消化不良感が強い。オススメかと言われると微妙である。