「おうちでハードカバー」とはいえ、外出するときに読んでいた本もある。
この本は、だいぶ前に紙の本で読んでいたのだけど、人に貸して戻ってこなくなってしまった。kindle版が出ていたので読み直す。
「ポスト構造主義期」というのは、構造主義の思考方法があまりに深く私たちのものの考え方に浸透してしまったために、あらためて構造主義者の書物を読んだり、その思想を勉強したりしなくても、その発想方法そのものが私たちにとって「自明なもの」になってしまった時代(そして、いささか気ぜわしい人たちが「構造主義の終焉」を語り始めた時代)だというふうに私は考えています(第1章1)。
という著者の指摘は的確であって、私自身がそうした発想をすでにかなりの程度「自明なもの」と見なしているせいか、この本に書かれている内容は実にすらすらと頭に入っていくる。たぶん最初に読んだ頃(たぶん2000年代前半)よりも、さらにその傾向は強まっているのだろうと思う。
その意味で、この本は知的な興奮を与えるというよりは、現実的に「使える」ものに近づいているような気がする。哲学への入門という意味でも、このへんから始めるのがけっこう面白いかもしれない。